和紙の歴史は千年以上有るとも言われております。
和紙は、襖(ふすま)・障子(しょうじ)に限らず、天井、壁などの内装材として日本の家屋に
利用されてきました。
和紙は、日本の風土に合った内装材で、多くの特徴があります。
代表的な和紙原料とその特徴を紹介します。
和紙の原料
楮(こうぞ)
楮は、全国各地に分布し栽培が容易で収量も多く、日本で一番多く使われている
和紙原料
です。書画以外の生活用具として使われる和紙のほとんどはこうぞの紙です。
楮の木 |
楮を束ねて蒸します |
三椏(みつまた)
三椏は江戸時代前期頃から製紙原料として使われたといわれております。
枝が三つに分かれることから三椏の名が付けられました。
三椏の
和紙はきめの細かいところが特徴で、お札や証券用紙などに使われております。
三椏の木 |
三椏を蒸した状態 |
水洗い・さらし |
紙漉き(かみすき) |
和紙の特徴
◆環境にやさしい
和紙の原料は、自然界に育った木や草を原料としているので、有害な化学物質を含まず、
燃やしたり、廃棄しても土にかえり環境にやさしい建築材料です。
◆丈夫で長持ち
和紙のほとんどは中性ですので劣化しにくいのが特徴です。千年以上前の紙が残っている事でもわかります。機械紙は薬品を多用するため、その大半が酸性となり、劣化が早く長持ち
しません。
◆通気性に優れている
和紙は長い繊維が絡み合い結合してシートになっています。
シートを拡大してみるとたくさんの隙間があります。この隙間から空気が行き来しますので、
季節を肌で感じることも出来るのです。
◆透光性に優れている
和紙の隙間は光も通します。その光は繊維によって屈折され、とても柔らかい光になります。
◆伸縮性に優れている
和紙の繊維は非常に長いので、湿らせて紙を伸ばしてやることができます。
石碑などの拓本をとる湿拓技法は和紙を伸ばすことで可能になります。
また、障子紙を張り替えたあとに霧吹きで水をかけてやると、やがて和紙は乾燥しパンパンに張ります。
◆折りたたみに強い
和紙は長い繊維ですから、折り畳みを繰り返してもなかなか破れません。屏風の蝶番も和紙でできています。
◆自然の素材と相性が良い
和紙は自然の恵みでできています。自然のさまざまな素材と出会うことにより、
水に強くなったり、火に強くなったり、破れにくくなったりします。
和紙と相性の良い素材 : ウルシ・カキシブ・コンニャク・土・米・桐油・荏胡麻油など。